最近読んだ本の一冊は、デザイナーである森田恭通さんの「未来を予知する妄想の力」。
日本国内のみならず海外でも大活躍されていらっしゃいますが、たとえお名前を知らなくても、森田さんが手掛けたお店や建物を一度でも訪れたことや見たことがある方は多いかと思います。PASSAGEから近いところでは、毎年冬に恵比寿ガーデンプレイスに展示される巨大なバカラのシャンデリア! 冬の風物詩ですね。このプロジェクトに関しても本の中で紹介されています。
お仕事に向き合う姿勢や心構えはとても共感できるところが多いのですが、中でも印象に残ったのはクライアント向けのプレゼンについて。ぜひご紹介したく以下本から引用させていただいています。
僕は英語があまり喋れないにもかかわらず、相手が海外のクライアントであっても、自分でプレゼンしています。なぜこういうデザインになったのか、拙いながらも自分の言葉で説明することで、どれほど真剣考えてきたのかという誠意も伝えられると思っているからです。森田恭通「未来を予知する妄想の力」
思わず心の中で拍手です。
そうなんです、いくらプロの通訳者であっても、話し手が伝えたいと思っている、ごくごく微妙なニュアンスまで100%伝えられるかというと難しいのです。逆に森田さんのように英語が多少苦手でも、その道の専門分野である本人の方が、知っている単語から近いものを選択し、そのニュアンスを上手く分かりやすく伝えられる。そんなシーンも実際に何度も見たことがあります。きっとその単語は通常はそういう使い方はしないだろうけれど、そうか、そのニュアンスに近いんだ!と聞いているこちらまでなるほど!と思える。そんな感じです。
多少拙くても自分の英語で自分の思いや意見をしっかり相手に伝えられること > 完璧な英語でペラペラと話すことができること
これはレッスンでもとても大切にしている点です。 英語がペラペラじゃないから話さないでいると、相手とのコミュニケーションそのものを放棄しているともとられかねません。
英語でコミュニケーションをとるために、足りない英語力が流暢になるまで待つ必要は全くありません。円滑なコミュニケーションをとるためのちょっとしたマナーと、コツ、簡単な英語フレーズさえ身に付けてしまえば乗り切ることができます。たとえシンプル・簡単であっても、心が通う英語でのコミュニケーションは本当に楽しいですし、その実現のために高度な英語は必要ありません。
そして森田さんの著書のタイトルにも入っている「妄想の力」 この妄想力は英語力を伸ばすのにも使うことができるんです。
生徒さんはピンときたかもしれませんが、レッスンでは「一人二役シナリオ英会話(別名:妄想英会話)」をよく行っています。自宅学習用にhomeworkにすることもあります。
森田さんも、店舗のデザインをする際にご本人いわく「ヘロヘロになるほど」妄想デートを繰り返したそうですが、英語学習にもこの妄想力はとても有効です。
私も数えきれない程の妄想英会話を繰り返して会話力を磨いてきたのですが、一人でブツブツと様々なシーンを想定してはネイティブとの妄想会話を繰り広げていました。最初はもちろん英語力もないので決まったフレーズしか使えないのですが、慣れてくると覚えたての新しいフレーズを使ってみたくなってきます。そして会話の中で詰まってうまく言えなかった箇所はできるまで練習を。その繰り返しでどんどんフレーズも増え、会話力もアップしていきました。妄想なので一切お金もかかりません!どこでもできる最高のトレーニングですね。また妄想会話の中でスムーズにできない箇所は苦手なところや弱いところ。他人のアドバイスがなくても自覚できるのもまた良いのです。
英語は使わずには上達しないし話せるようにはなりません。話す機会がなければ使ってみたいシーンを妄想して、できるだけ多くのイメージトレーニングを行ってみて下さい。
先日のレッスンでも、旅行先でのトラブルを想定したロールプレイを行いましたが、実際に生徒さんが過去に空港で遭遇したトラブルで行いました。その時のことを思い出しながら、私も空港カウンターのチェックイン係や入国審査官になりきります。さらには次回レッスンの宿題にも。そこまでにどのようなフレーズでどう返したら良いか、スムーズにできるまで練習をしてきていただいています。とにかく学んだらそれで終わりではなく、実際どういうところで使えるのかも意識するだけでも変わります。
妄想も実践も英語学習の中で活用してみてくださいね!
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